リードはあるのに商談にならない原因とは?見直すべき5つのポイント
展示会やウェビナー、資料のダウンロードで、リードは毎月集まっている。それなのに商談の数が増えず、営業からは「質の良いリードがない」と言われてしまう。BtoBのマーケティング担当者から、よく伺うお悩みです。
こうした状況では、「もっとリードを集めよう」「広告の出し方を変えよう」と、入口の施策に目が向きがちです。しかし、集め方を変えても商談が増えないケースは少なくありません。
この記事では、営業とマーケティングの両方を経験してきた立場から、リードが商談にならない原因と、見直すべき5つのポイントを解説します。
目次
- 結論:原因の多くは、マーケと営業の「間」にある
- ポイント1:集めているリードが、そもそも営業の対象とずれている
- ポイント2:「商談につながるリード」の基準が、マーケと営業でそろっていない
- ポイント3:今アプローチすべきリードが見えていない
- ポイント4:リードを引き継ぐタイミングとルールが決まっていない
- ポイント5:商談にならなかった理由が、マーケに戻ってきていない
- どこから見直すべきか:まずは数字で「詰まり」を見つける
- まとめ
結論:原因の多くは、マーケと営業の「間」にある
リードが商談にならない原因の多くは、リードの量や質そのものではなく、マーケティングと営業の「間」の流れにあります。リードを集める段階から、営業に渡し、結果が返ってくるまでのどこかで、流れが止まっているのです。
見直すべきポイントは、次の5つです。
- 集めているリードが、そもそも営業の対象とずれている
- 「商談につながるリード」の基準が、マーケと営業でそろっていない
- 今アプローチすべきリードが見えていない
- リードを引き継ぐタイミングとルールが決まっていない
- 商談にならなかった理由が、マーケに戻ってきていない

それぞれ、よくある状態と見直し方を順に説明します。
ポイント1:集めているリードが、そもそも営業の対象とずれている
よくある状態
マーケティングの目標が「リードの件数」になっていて、業種や企業規模、役職を問わずにリードを集めているケースです。展示会で名刺を多く集めたり、誰でも申し込みやすい資料を用意したりすると、件数は増えます。一方で、営業が売りたい相手とは違う企業のリードが多く混ざってしまいます。
なぜ商談にならないのか
営業の対象ではない企業に、いくら丁寧にフォローしても商談は生まれません。それどころか、対象外のリードへの対応に営業の時間が取られ、本来追いかけるべき企業へのフォローが遅れてしまいます。
見直し方
まずは、過去に受注した企業の業種、規模、問い合わせてきた人の役職を振り返り、「商談になりやすい企業」の特徴を書き出します。そのうえで、リード獲得の施策ごとに、その特徴に合う企業がどれくらい含まれているかを確認します。件数だけでなく「対象企業のリードが何件集まったか」を目標にすると、施策の選び方が変わります。
私がこれまで見てきた現場でも、マーケティングのKPIが「毎月の獲得リード数」だけになっていて、件数を達成すること自体が目的になってしまうケースは少なくありませんでした。目標を達成したことで満足し、そのリードが商談につながったのかまでは追い切れていない。これでは、集めたリードが売上にどれだけ貢献しているのかがわからず、施策の良し悪しも判断できません。
ポイント2:「商談につながるリード」の基準が、マーケと営業でそろっていない
よくある状態
マーケティングは「資料をダウンロードしたから、関心が高いはず」と考えて営業に渡し、営業は「まだ情報収集の段階で、話を聞いてもらえない」と感じている。どちらも間違ってはいないのに、お互いに「相手が悪い」と思ってしまう状態です。
なぜ商談にならないのか
「良いリード」の基準がそろっていないと、マーケティングは件数を増やすほど成果を出したつもりになり、営業は渡されたリードを後回しにするようになります。結果として、本当に検討が進んでいる企業まで、フォローされないまま埋もれてしまいます。
見直し方
マーケティングと営業で話し合い、「どの条件を満たしたら営業に渡すか」を言葉にして決めます。例えば、対象の業種・規模であること、料金ページを見た・問い合わせをしたなど検討が進んでいる行動があること、といった条件です。基準は一度で完璧にする必要はなく、運用しながら見直していけば十分です。
なお、この基準を満たしたリードは、一般に「MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングが営業に渡す基準を満たしたリード)」と呼ばれます。さらに、営業が「商談を進めるべき」と判断したリードは「SQL(Sales Qualified Lead)」と呼ばれます。大切なのは呼び方ではなく、マーケティングと営業が同じ言葉で、同じ基準を思い浮かべられることです。
そのためには、部門ごとの目標を追うだけでなく、お互いの立場を理解することが欠かせません。マーケティングは営業が商談で何に苦労しているのかを、営業はマーケティングがどんな意図でリードを集めているのかを知る。そのうえで「売上につながるリードとは何か」という共通認識を持つことが、基準づくりの出発点になります。
基準の決め方は、『「良いリード」の基準をマーケと営業でそろえる方法|MQL・SQLの決め方と運用のコツ』で詳しく解説しています。
ポイント3:今アプローチすべきリードが見えていない
よくある状態
「資料をダウンロードした」「問い合わせがあった」といった具体的な行動があったリードは、誰が見ても「今対応すべき」と判断できます。一方で、それ以外のリードについて、何をもって「関心が高まっている」と判断するのか、共通のルールがないケースは少なくありません。マーケティングの中ではスコアリング(行動に応じてリードに点数をつける仕組み)のルールがあっても、それが営業に共有されていないこともよくあります。
私が会社員時代に営業をしていたときも、まさにこの状態でした。定期的にセミナーを開催し、展示会にも出展していて、参加者のリストはマーケティングから共有されていました。しかし、参加者をフォローする役割の人がおらず、営業が連絡していたのは、その場で「個別の打ち合わせを希望する」と回答した人だけ。営業の中からは「セミナーや展示会のリードは、商談につながらない」という声も多く上がっていました。
なぜ商談にならないのか
実際には、「商談につながらない」のではなく、「つなげる動きをしていない」だけでした。せっかく獲得したリードを放置するのはもったいないと考え、参加者へのフォローの流れをつくって、こちらから連絡するようにしたところ、その場では打ち合わせを希望していなかった方からも、個別の商談、さらには受注につながるケースが生まれました。
お客様は、いつでも本音を打ち明けてくれるわけではありません。アンケートには何も書かなくても、こちらから声をかけたことで「実は…」と課題を話してくださる方もいます。ただし、それも関心が高まっているタイミングだからこそです。BtoBの検討には時期があり、そのタイミングに気づけるかどうかで、商談になるかが大きく変わります。
見直し方
まずは、リードごとに「情報収集中」「検討中」「商談中」のような状態を決め、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)で管理します。そのうえで、メールの開封、料金ページの閲覧、ウェビナーへの参加といった行動から「関心が高まっている」と判断する基準を決め、マーケティングと営業で共有します。
次に大切なのが、対応してもらうための渡し方です。「このリストに対応してください」と一覧で渡すと、どうしても対応が漏れてしまいます。基準を満たしたことをきっかけに、1件ずつ担当者に通知が届くようにし、連絡したかどうかをタスクとして管理できる仕組みにすると、対応の漏れを防げます。少人数のチームこそ、ツールで「次に連絡すべき企業」がわかり、対応の状況まで見える状態をつくることが大切です。

ポイント4:リードを引き継ぐタイミングとルールが決まっていない
よくある状態
マーケティングからインサイドセールスへ、インサイドセールスから営業へ。何を基準にリードを引き継ぐのかが明確に決まっておらず、担当者の感覚で動いているケースです。月に一度まとめてリストを渡したり、営業が手の空いたときに連絡したりしていると、関心が高まってから連絡するまでに数日から数週間あいてしまいます。
見落とされがちなのが、反対方向のルールです。営業が一度フォローしたものの「今は時期ではない」となったリードを、どんな状態ならマーケティングやインサイドセールスに戻すのか。ここが曖昧なまま運用されていることも少なくありません。
なぜ商談にならないのか
関心が高まった直後に連絡できれば話を聞いてもらえた企業も、時間がたつと検討の優先度が下がったり、他社と話を進めていたりします。また、戻すルールがないと、営業がフォローを終えたリードは誰にも追いかけられなくなります。私自身、こうして誰もフォローしないまま無駄になってしまったリードを、これまで数多く見てきました。半年後、1年後に検討が再開したときに、真っ先に声をかけられたはずの企業です。
見直し方
「この条件を満たしたら、何日以内に、誰が連絡するか」を決め、引き継ぐときに伝える情報(どの資料を見たか、何に関心がありそうか)もそろえておきます。あわせて、戻すルールも決めておきます。「数か月以内に再検討する」のように時期が近い場合はインサイドセールスに戻し、タイミングを見て再び連絡する。「次の予算の時期まで検討しない」「担当者が異動した」のように当面動きがない場合はマーケティングに戻し、メールなどでのフォローを続ける。このように、状態に応じて戻し先を分けておくと、誰にもフォローされないリードがなくなります。
以前、セミナーや展示会の参加者へのフォローの流れをつくったときは、「アポイントが取れた時点で営業に引き継ぐ」とルールを決めました。さらに、営業が狙っている規模の企業は営業に引き継ぎ、やや規模の小さい企業は自分で商談まで対応するというように、企業規模で担当も分けました。基準がはっきりしたことで、それまでセミナーや展示会のリードに関心を示さなかった営業のメンバーから、「どんなリードが獲得できた?」「次はこんな展示会に出るとよさそう」と声がかかるようになり、部門間のやり取りが一気に増えました。引き継ぎのルールは、対応を速くするだけでなく、部門同士が同じ方向を向くきっかけにもなります。
そして、決めたルールは、できる限り自動化することが大切です。引き渡しが手作業のままだと、日々の業務に追われるなかで後回しになり、せっかくのルールが続きません。CRMやMAを使えば、条件を満たしたリードを営業に自動で通知したり、戻ってきたリードにメールの配信を自動で始めたりできます。ルールは決めることよりも、続けることのほうが難しいものです。続けられる仕組みにしておくことが、成果につながります。

引き継ぎのルールの作り方は、『マーケから営業へ、リードはいつ・どう渡すべき?引き渡しルールの作り方』で詳しく解説しています。
ポイント5:商談にならなかった理由が、マーケに戻ってきていない
よくある状態
営業に渡したリードが、その後どうなったのかをマーケティングが知らない状態です。商談になったのか、連絡がつかなかったのか、話はしたが時期が早かったのか。結果が共有されないまま、マーケティングは同じ集め方とフォローを続けています。
なぜ商談にならないのか
営業やインサイドセールスの現場には、リードの質を高めるヒントがたくさんあります。何がきっかけで商談になったのか、お客様にどんな言葉が刺さったのか、反対に「この業種は予算の時期が合わない」「この資料を読んだ人は、まだ社内で検討が始まっていない」といった情報です。これがマーケティングに戻らないと、集め方も、渡す基準も改善されません。
見直し方
営業がリードに連絡した結果を、CRMに簡単な選択肢で残すルールをつくります。「商談化」「時期尚早」「対象外」「連絡つかず」程度の分類でも、数か月分たまれば、どの施策のリードが商談になりやすいかが見えてきます。営業が入力しやすいよう、選択肢は少なく、手間をできるだけ減らすことがポイントです。
あわせて、月に一度はマーケティングと営業で結果を振り返り、現場で聞いた言葉や商談のきっかけを、メールや資料、ウェビナーのテーマに反映していきます。
特に効果が大きいのが、商談になったリードの属性の分析です。私が以前取り組んだときは、アポイントにつながったリードのうち、初回の面談で終わらずに商談が続いたケースや、受注に至ったケースに絞って、業種や規模、役職などを分析しました。すると、当初「この層を狙おう」と考えていたペルソナ(想定する顧客像)と、実際に商談につながっている層が違っていたことがわかったのです。結果をもとにペルソナを見直したことで、本当に狙うべき相手がはっきりし、集めるリードの的を絞れるようになりました。アポイントの数ではなく「その先まで進んだ商談」を見ることが、集めるリードと営業の対象とのずれを解消する近道にもなります。
営業とマーケティングの両方を経験してきて実感するのは、こうした情報を各部門の中にためておくのではなく、会社全体で共有することの大切さです。共有された情報は、担当者が変わっても残る会社の資産になり、売上を伸ばし続ける土台になります。
どこから見直すべきか:まずは数字で「詰まり」を見つける
5つのポイントのうち、どこから手をつけるべきかは企業によって異なります。見直す場所を決めるには、リードから商談までを段階に分け、それぞれの件数を並べてみるのが近道です。
例えば、次のような段階ごとの件数を、施策別・月別に確認します。
- 獲得したリードの数
- そのうち、営業の対象となる企業のリードの数
- 営業に渡したリードの数
- 営業が連絡できたリードの数
- 商談になった数
2の割合が低ければポイント1、3から4の間で減っていればポイント4というように、件数が大きく減っている段階が、流れが詰まっている場所です。「どこで減っているのか」がわかれば、やみくもに施策を増やさずに、効果の大きいところから手をつけられます。

ここで大切なのは、部門ごとの数字ではなく、リードから商談までを一続きの流れとして見ることです。マーケティングは獲得リード数、営業は商談数と、部門ごとにKPIを設定して管理している企業は多いと思います。しかし、それぞれの部門の数字だけを見ていると、目標に届かない原因が部門と部門の間にあっても気づけません。実際、部門の連携部分まで数字を追えている企業は、それほど多くないのが実情です。
ただ、これらの数字がすぐに出せない企業も少なくありません。その場合は、数字をそろえること自体が最初の改善になります。段階ごとの数字のそろえ方は、別の記事で解説します。
まとめ
リードが集まっているのに商談にならないとき、原因の多くはリードの量や質ではなく、マーケティングと営業の「間」の流れにあります。対象とする企業、引き継ぐ基準とタイミング、営業からの結果の共有という5つのポイントを見直すことで、今あるリードからでも商談を増やすことができます。
出発点は、部門の垣根をこえて「売上につながるリードとは何か」の共通認識を持つことです。そのうえで、決めたルールを自動化して続けられる形にし、現場で得た情報を会社全体で共有していく。この流れができると、施策を増やさなくても、商談は着実に増えていきます。
まずは、リードから商談までの数字を段階ごとに並べ、どこで流れが止まっているのかを確認するところから始めてみてください。
この記事を書いた人
鈴木 華那Bridge UP 代表
BtoBの営業・マーケティングに20年以上従事。営業職としてキャリアをスタートし、マーケティング部門の立ち上げなどを経験。現在は「営業の現場を知るマーケター」として、少人数のBtoB企業でも商談が生まれ続ける仕組みづくりと内製化を支援しています。
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リードはあるのに、商談につながらない。
その原因を、3週間で特定します。
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